REITをナンピン買いするメリット・デメリット。失敗しない投資戦略
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株式投資とは違いREIT投資の場合はナンピン買いのメリットが大きいと言われます。
私自身もナンピン買いをして買い付け平均価格を下げつつ投資口数を増やしていく戦略を行ってきました。
ではなぜREIT投資は株式投資と比べてナンピン買いのメリットが大きいのでしょうか。
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REITをナンピン買いするメリット
株式投資の場合、投資する一番の目的(リターン)は株価の値上がり益です。なかには高配当銘柄や株主優待が充実している銘柄もありますが、多くの銘柄では「おまけ」程度の存在。基本的に株式投資は安く買って高く売ることで儲ける、いわゆる「キャピタルゲイン」目的で投資するものです。
株価が下がれば配当金や株主優待などの「インカムゲイン」の利回りが相対的にアップするわけですが、そもそも株はインカムゲイン目的の投資対象ではないため、株価下落による利回りアップが買われる要因にはなりにくいのです。
ところがREITの場合、主な投資目的は分配金。つまり「インカムゲイン」です。なので、投資口価格が一時的に下落すれば相対的に利回りも上昇。投資妙味がアップするため買いたい投資家が増えるわけです。その結果、下落に歯止めがかかりやすくなり、下落の一途をたどるということは起こりにくいのです。
つまり、ナンピン買いが通用する。ということです。
買った価格よりも下がった場合、買い下がっていくことで平均購入価格が下がり、やがて投資口価格が好転(反転)した時に平均購入価格を上回ってくる可能性が高くなります。
ただし、何でもかんでもナンピン買いすればいいと言うわけではありません。
しっかりとした長期的投資戦略と心構えを持っておく必要があります。
REITをナンピン買いする時の投資戦略
打ち止めの口数(限度額)を決めておく
株式投資でナンピン買いをして失敗する人は、その銘柄に投資する最終的な限度額を決めていないケースがほとんどです。
損失を取り返そうと焦ってどんどんと追加投資していき、その銘柄の投資額がポートフォリオ全体に対して想定外に大きなウェイトを占めてしまうケースです。
大抵の場合、この状態に陥った銘柄の株価が好転することは少なく、いわゆる「塩漬け株」となります。株価がそこまで売り込まれる場合、何かしらの理由(悪材料)があるからです。
REITにおいても例外ではありません。株式に比べると価格変動もゆるやかで、投資口価格が下がり続けるというケースもまれですが、まったくないわけではありません。
そのため、金額を決めずにナンピン買いし続けると、本来ならもっと投資妙味がある他の銘柄に分散投資できていたはずの資金が、ひとつの銘柄に偏ったかたちに配分されてしまいます。
これは長期間安定的に分配金が得られるポートフォリオを形成する上でやってはいけないことです。
予め決めた限度額までナンピン買いしたあとは何も気にせず保有(放置)し続けるのみ。時間の経過とともに分配金収入が下落分の損失額を飲み込んでくれるわけですから。
優良銘柄はナンピン買いに不向き。高利回り&割安銘柄を狙う
そもそもREITをナンピン買いする投資戦略は「投資口価格の下げ止まり」を想定したものです。
投資口価格が下げ止まる(反転する)可能性が高いという根拠がある銘柄がナンピン買い戦略に相性が良いと言えます。
その下げ止まりの大きな要因となるのが、「利回り」と「割安度」の2つです。
REIT投資の一番の目的である分配金。その分配金の利回りは投資判断に最も直結する要素あり、投資家にとって一番関心がある数字です。
「価格が下がれば利回りが上がる」ということがREIT投資でナンピン買いをする一番の根拠なのですから、素直に高利回り銘柄を選ぶのがよいでしょう。
次に大事なのが「割安度」。つまりNAV倍率です。
↓参考記事
NAV倍率とは、投資口価格がREITの資産価値に対して割安なのか割高なのかを判断する指標です。株式でいうところのPBR(株価純資産倍率)にあたります。
NAV倍率が1倍を超えると割高、1倍を下回ると割安という意味になります。要するにNAV倍率が低いほどそのREITの投資口価格が割安だということです。
どんなものでもそうですが、実際の価値よりも安い価格で売られていれば「お値打ち商品」であり、欲しい人・買う人も増えます。
REITの投資口価格も同じです。つまり下落の余地が低いと想定できるのです。
もちろん、割安になっている理由は様々なので一概に下がりにくいとは言えませんが、大きな目安となることに間違いはありません。
ナンピン買い戦略に限らず「高利回り&割安銘柄」は投資妙味が高いわけですが、特にナンピン買いの対象にする銘柄を選ぶ際には重要です。
逆に優良銘柄といわれるREITは投資口価格も高止まりしているケースが多く、利回りも低くNAV倍率も1倍を超えている銘柄がほとんどなので、ナンピン買いには不向きといえるでしょう。
最初に購入する時点でナンピン買いを想定しておく
あくまでもナンピン買いは想定内の投資戦略でなければいけません。
最初に購入した価格が「底値だと思った」「上昇すると思った」という理由で購入していたとすれば、投資口価格の下落は想定外の出来事でしょう。
その状況から「REITはナンピン買いが通用するから」という考えで焦ってナンピン買い(追加投資)すれば、典型的な失敗パターンに陥ります。
ナンピン買いで買い下がっていくことを予め想定した上で投資しなければなりません。基本的にナンピン買いを行ってもよいのは、最初からナンピン買いを想定して投資し始めた銘柄だけと決めておきましょう。
仮に1口20万円のREITを5口(100万円)投資するとします。
ナンピン買いを想定する場合、いきなり20万円✕5口と買うのではなく、例えばまずは2口(40万)買います。
そして投資口価格がいくらまで下がったら何口追加投資(ナンピン買い)するかを予め決めておくのです。
例えば、10%下落(18万円)で1口ナンピン買い、15%下落(17万円)で1口ナンピン買い、20%下落(16万円)で1口ナンピン買い、という具合です。※金額や口数はあくまで一例です。
この場合だと、
(20万円✕2口)+(18万円✕1口)+(17万円✕1口)+(16万円✕1口)=91万円(5口)
となり、91万円で5口買えたことになります。最初に20万円で5口買った場合は投資額100万円ですから、同じ5口投資するのに9万円安く買えたことになります。
もしこのREITから1口あたり9000円の分配金がもらえるとすれば、
- 100万円で5口買った場合は利回り4.5%
- 91万円で5口買った場合は利回り約4.9%
となります。※説明をわかりやすくするため利回りの変動等は無視しています。
ただし、一概にナンピン買い戦略が有利というわけではありません。
いくら下値を拾えたとしても、購入までに期間がかかりすぎるとトータルリターンが低くなるというデメリットもあります。
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REITのナンピン買い戦略のデメリット
最初に買った時点から価格が上昇すればナンピン買いできない
当たり前ですが、価格が上昇すればナンピン買いができません。どうしても購入したい銘柄であったり、最初に購入する時点の価格でも十分投資妙味がある場合は、買い渋っていると逆に後悔することにもなりかねません。
分配金を目的とした長期投資の場合は基本的に売却しないので、投資口価格が上がったところで売却益(キャピタルゲイン)を得られることはありません。
ナンピン買い戦略と相性が良いのは、「もし投資口価格が下がれば買いたい」と思う銘柄です。確実に買っておきたい銘柄には不向きです。
この考え方はREIT投資に限った話ではありません。
洋服を買う時の話と似ています。
すごく欲しい洋服を見つけてバーゲンで価格が下がる時まで待っていたのに、いざバーゲンが始まってお店に行ってみると「すでに売り切れていた」なんてことがよくあります。
「定価なら買わなくてもいい」という服であればこの戦略は正しいですが、「たとえ定価でもどうしても欲しかった」という服だったとすれば戦略ミスです。
洋服が売り切れていた場合はもう買えません。欲をかいて買い逃したわけです。REITなら買えないということはありませんが、価格が上昇しているので投資妙味がありません。
最初からナンピン買いを想定した投資戦略をとる場合は、「もし価格が下がれば買いたい」という銘柄を対象にしましょう。
分配金がもらえる期間の機会損失
さきほどの洋服のバーゲンの例え話で、売り切れていた場合以外に「セール対象外だった」というケースもあるでしょう。
セール対象外だった場合ならまだ買うことはできますが、待っていた期間その服を着て楽しむことができなかったという機会損失が起こっています。
REIT投資で例えると、価格が下落するまで待っていた期間にもらえていたはずの分配金が機会損失です。
簡単に言うと時間をかけてナンピン買いし、最初に全額投資していた場合よりも投資金額がトータルで3万円安く済んだとしても、その間に5万円分の分配金を機会損失していたとすれば何の意味もありません。最初に全額投資していた方が得していたことになるわけですから。
まさに時は金なりです。
あまりにも過剰に安値で買うことを考えるがばかりにナンピン買いに機関をかけすぎて、肝心の分配金をもらう期間を失ってしまっては元も子もありません。
特に利回りの高いREITの場合、数年保有するだけでも分配金の利益が元本の下落リスクをどんどん飲み込んでいってくれます。
それが大きな魅力だからこそREITに投資しているわけですから。
なのであまり元本リスクを神経質にとらえるよりも分配金がもらえる期間の機会損失をしないということも頭に入れて、バランス良く買い増していくことが重要です。